電子図書館とは?
定義やメリット・デメリット、課題を解説

電子図書館イメージ画像

365日24時間、誰でも無料で出来る「電子図書館」が注目されています。

国立図書館の「国立国会図書館デジタルコレクション」をはじめ、多くの自治体が行政サービスの一環として電子図書館を導入しています。

ここでは電子図書館について知っておきたいことをわかりやすく解説します。

電子図書館とは?

電子図書館とは、図書館が所蔵する本や映像といったメディアを、インターネットを経由して利用できるサービスのことです。

書籍や文献、音源、映像など、図書館に所蔵されている物で、なおかつデジタル化が済んでいる物であれば図書館に出向くことなく利用できます。

電子図書館の使い方は貸し出しサービス以外にも、検索、閲覧、印刷(PDF出力)などのサービスがあり、利用者はどこにいても365日24時間利用できることが特徴です。

電子出版制作・流通協議会(電流協)によると、2021年4月1日時点で205の自治体が電子図書館を導入済みとしています。

自治体が運営する公共の電子図書館以外にも、民間による電子図書館サービスとして、Maruzen eBook Library、LibrariE&TRC-DL(ライブラリエ)、OverDrive Japanなどがあります。

参照元:公共図書館 電子図書館サービス(電子書籍貸出サービス)実施図書館 (2021年4月1日現在)

電子図書館の主なサービス

電子図書館は大きくふたつのサービスに分けられます。

貸出業務の電子化

電子図書館の主なサービスのひとつが「貸出業務の電子化」です。

これまで利用者は図書館まで足を運ぶ必要がありましたが、電子図書館であればパソコンやスマートフォンを使ってインターネットにアクセスするだけで貸出手続きが完了します。

例えば、2週間の貸出期間だとした場合、従来の貸出では返却時にも図書館まで出向く必要がありますが、電子図書館では返却期間を過ぎると、利用者の端末で閲覧できなくなる仕組みです。

このように貸出業務が簡素化されるだけでなく、利用者の返却忘れや紛失なども防げるため、図書館と利用者の両方が恩恵を受けられます。

閲覧の電子化

電子図書館のもうひとつの主なサービスが「閲覧の電子化」です。

図書館が所蔵している書籍や音源、映像などで電子化が済んでいるものであれば、利用者はいつでもどこでもそれらの資料にアクセス可能です。

とくに大学図書館向けの電子図書館サービスで活用されており、登録された利用者であれば、どこからでもあらゆる資料の閲覧が可能になる仕組みです。

電子図書館のメリット

次に、電子図書館のメリットを見てみましょう。

365日24時間対応

電子図書館の大きなメリットと言えるのが365日24時間対応ということです。
貸出、検索、閲覧、印刷といった使い方が時間と場所を選ばずに出来るため、利用者の利便性は大幅に向上します。

在庫管理問題の解消

電子図書館では物理的な在庫管理問題が解消されます。

書籍の保管場所が不要になることや、現物管理の手間、貴重資料の紛失リスクなどが解消されるため、業務効率化にもつながります。

障害者や高齢者の利用支援が可能

電子化された書籍をはじめとするメディアは、障害者や高齢者の利用支援も可能にします。

例えば、文字の拡大表示や音声読み上げといった機能面での支援をはじめ、来館の手間や労力を省くことがあります。

電子図書館には公共の福祉サービス向上というメリットもあるのです。

電子図書館のデメリット

電子図書館のデメリットも見てみましょう。

貸出可能な電子書籍や端末不足

電子図書館はすべての書籍や資料を電子化している訳ではないため、インターネットを通して貸出や閲覧できる物の数が限られていることがデメリットです。

また、パソコンやスマートフォンを持っていない人のために貸し出す端末(リーダー)の数も制限があります。

導入コストの負担が大きい

電子図書館のサービスには電子化が不可欠で、電子化にはコストがかかります。

また、貸出システムや閲覧システムといった環境を整えるための導入コストの負担が大きいことがデメリットです。

とくに、自治体が運営する電子図書館では予算確保が難しい場合もあるため、電子図書館の普及が進まないひとつの要因でもあります。

国立国会図書館のデジタル化事業

電子図書館の先駆けとも言えるのが、国立国会図書館によるデジタル化事業「国立国会図書館デジタルコレクション」です。

2001年から国立国会図書館が所蔵する資料の電子化が進められており、2011年から著作権処理済みの古典資料、図書、雑誌、官報、そして博士論文などが電子化されたうえでインターネット上に一般公開されています。

2009年の著作権法改正で、国立国会図書館に対して著作権者の許諾を必要とせずに図書館資料の原本を電子化できることが認められて以降、大規模な電子化およびデジタルアーカイブ化が実施されています。

2021年3月時点、図書36万点、雑誌1万点、古典籍資料8万点が電子化され、インターネット上に公開されています。

国立国会図書館デジタルコレクション

電子図書館の課題

電子図書館の課題をご紹介します。

法整備

電子図書館で扱うコンテンツをめぐる法整備が課題です。

著作権だけでなく、書籍や映像などに含まれる画像コンテンツについては肖像権も関係するため、これらの問題に対する統一された法整備が求められます。

コンテンツ価格

現状はコンテンツ価格が割高なため、価格を抑えられるかが課題です。

例えば、株式会社日本電子図書館サービスの契約条件である「2年間または貸出52回」だと、紙の書籍と比較して1.5倍から2倍になり、規定の期間または回数に達するとライセンスを買い直す必要があります。

電子図書館を運営する側にとってはサービス維持にコストがかかる訳です。

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